30代無職でFIREのような生活を1年体験してわかったこと
FIREに憧れはあっても、実際に仕事を辞めてみたらどうなるのかは、やってみるまで分からない部分が多いです。生活できるのか、メンタルは持つのか、時間を持て余さないのか。不安になるのは自然なことだと思います。
わたしも仕事を辞める前は、そこが気になっていました。
この記事では、30代で無職として1年過ごし、『FIREのような生活』を体験して感じたことを、お金・暮らし・後悔・これからの働き方に分けてまとめます。これから辞めるか迷っている方にも、FIRE後の暮らしが気になる方にも、判断材料として読んでもらえたらうれしいです。
30代無職でFIREのような生活を1年体験して感じた結論
結論からいうと、思っていたより穏やかに暮らせました。ただし、それはFIRE生活が想像以上に楽だった、という意味ではありません。辞める前に準備していたことと、退職後の手当があったことで、気持ちが大きく崩れずに済んだ面がかなり大きいです。
もう一つ感じたのは、FIREのような生活は「働かなくて自由」だけでは成り立たないということです。時間が増えること自体は魅力ですが、やりたいことや日々の軸が曖昧だと、思った以上に手持ち無沙汰になります。
そのため、FIREに向いているかどうかは、資産額だけでは決まらないと思いました。お金の準備に加えて、何に時間を使いたいのか、人とのつながりをどれくらい持ちたいのかまで考えておいたほうがいいと感じました。
お金の不安はあったが、思ったより大きくならなかった
仕事を辞める前、いちばん大きかった不安はお金でした。無収入になって本当に生活できるのか。現金が減っていくことに耐えられるのか。
実際に1年過ごしてみると、手当のおかげである程度は生活できました。もちろん、何も準備せずに辞めていたら違ったと思います。だからこそ、手当があるから大丈夫だったというより、手当があるうちに次を考えられたというのが正しいかもしれません。
また、精神面で大きかったのはNISAを前から始めていたことでした。相場は上下するものなので、下がる時期もあります。ただ、そこで毎回不安にならず、悲観せずに放置できたのは、お金の本をいくつか読んで、自分なりの考え方を持てていたからだと思います。
現金の比率はこの1年で減りましたが、投資のほうは増えていきました。相場環境にも左右されるので誰にでも同じ結果になるとは限りません。それでも、現金しか持っていない状態よりは、気持ちの支えになったのは確かです。
事前に準備してよかったこと
お金の面で、もう一つ大きかったのが固定費の削減です。仕事を辞める直前に引っ越しをしたり、携帯会社を格安SIMに変えたりしたのは、1年通して振り返ってもやってよかったと感じます。
毎月必ず出ていくお金が軽くなると、収入がない状況ではとても助かりました。逆にいうと、収入を増やすことばかり考えて、固定費をそのままにしていると、精神的な圧迫感がかなり強くなりそうです。
| 変更前 | 変更後 | |
| 家賃 | 100,000円 | 70,000円 |
| 携帯代(2台分) | 16,000円 | 3,500円 |
特に携帯会社についてはもともと大手キャリアにしていたので、通信速度の低下が不安でした。実際、飲食店で自身のスマホから注文をするときには少し気になったときもありました。
ただ、そこまでストレスに感じることもなく、あまり家から出なくなったので、基本的には不自由なく使えました。

ただし、2年目は同じ感覚ではいられない
1年目が何とかなったからといって、そのまま同じように過ごせるとは思っていません。2年目からは手当がすべてなくなるので、前提条件が変わります。
ここは、FIREと無職の違いがはっきりと出るところです。十分な資産があるFIREなら別ですが、わたしの場合は「FIREのような生活を体験してみた1年」になります。だからこそ、この先は少しずつ働き方も見直していく必要があると感じています。
暮らしの体験としてよかったこと
この1年の生活の中で大きく変わったのは家事の分担です。
特に毎日の料理についてはがらりと変わりました。
もともとは妻が料理をしていましたが、仕事を辞めてからはわたしが担当するようになりました。最初は単に時間があるから始めた面もありましたが、今では毎日の献立を考えるのが楽しみになっています。
スパイスからカレーを作ってみたり、揚げ物に挑戦してみたり、普段あまり買わない食材を試してみたり。そういう小さな成功体験が重なったことで、料理が家事というより趣味に近づいてきた気がします。


これは料理が苦手だった妻にとっても負担が減るので、結果としてとてもよかった変化でした。もし今後仕事を再開しても、料理担当はそのままわたしになりそうです。

人に会わない生活は、思った以上に自分を鈍らせる
その一方で、良くない変化もありました。仕事を辞めると、人に会う機会がかなり減ります。すると、少しずつ自分に対するケアが雑になっていきます。
服装や身だしなみを適当にしやすくなり、外に出る理由も減ります。誰にも見られない日が続くと、整える意識そのものが薄れていく実感がありました。
無職やFIRE後の生活で大事なのは、生活リズムそのものより、自分をどう扱うかなのかもしれません。時間があるから整うのではなく、時間があるからこそ、意識して整えないと崩れやすいです。

FIRE体験でわかったのは「自由な時間」だけでは足りないこと
「FIREをしたら、好きなことを好きなだけできて最高なのでは」そう思う方も多いかもしれません。わたしもそんな期待をしていました。
たしかに、ゲームを一日中気にせずできるのは、会社員時代にはなかった体験です。ただ、実際にそれが毎日の満足につながるかというと、必ずしもそうではありませんでした。むしろ、自由にできるのに、どこかもったいなく感じることがありました。
時間があることと、時間をうまく使えることは別でした。ここはやってみないと分かりにくいところかもしれません。
やりたいことが曖昧だと、時間を持て余す
FIRE後にやりたいことが明確にある人なら、存分に楽しめると思います。
たとえば創作や勉強、旅、発信、家庭のことなど、時間を使いたい先がはっきりしていれば、働かない生活は強い味方になります。
ただ、そこが曖昧だと、日々の生活につまらなさが出てきます。一般的に働いている人たちとは時間が合いにくいので、平日の昼間に暇を感じることもあります。自由になったはずなのに、持て余す時間が増えるのはもどかしい感じがしました。
一時期、ゲームセンターのUFOキャッチャーにハマったことがあります。最初は景品が欲しかったのですが、途中からは「何かを取る」という行為そのものが楽しくなっていました。目的より手段が前に出ていました。
それはそれで一つの趣味なのだと思います。ただ、その体験を通して感じたのは、時間が増えると、何にでものめり込める一方で、軸がないと流されやすいということでした。
サイドFIREやバリスタFIREのほうが向いていそう
この1年を通して、完全に働かない生活よりも、少し社会との接点がある暮らしのほうが自分には合っていそうだと感じました。人とのつながりがあり、時間もある程度自由に使える形のほうが、精神的に安定しやすそうです。
たとえば、週に数日だけ働くサイドFIREやバリスタFIREのような形です。収入のためだけでなく、生活にリズムを作る意味でも、そのほうが現実的だと感じています。
2年目は、バイトをするのも一つの選択肢かなと思っています。FIREを目指すとしても、いきなり完全リタイアだけが正解ではない。そう思えるようになったのは、この1年の体験があったからです。
趣味やお酒の楽しみ方も少し変わった
仕事をしていたときは、よく行く馴染みのお店に通うことが多かったです。仕事終わりに行きやすい場所や、気心の知れたお店が中心でした。
ところが辞めてからは、新しいお店に行ってみることが増えました。時間に少し余裕があるぶん、今までなら選ばなかった場所にも足を運びやすくなったのだと思います。
お酒の種類の好みも少し変わった気がします。これが無職だからなのか、ただ時期的な変化なのかは正直分かりません。ただ、暮らし方が変わると、お金や時間だけでなく、楽しみ方そのものも少しずつ変わるのだと感じました。
後悔していること
この1年で後悔していることもあります。いちばん大きいのは、最初のまだ余裕があった時期に、もっと必要な買い物や旅行をしておけばよかったことです。
最初に掃除機、除湿乾燥機、洗濯機、スマホを買い替えたのは正解でした。生活に直結するものばかりだったので、あのタイミングで判断してよかったと思います。
ただ、PCもそのときに買っておくべきでした。今も使えないわけではありませんが、収入がない状態だと高い買い物の判断が一気に重くなります。必要だと分かっていても、つい後回しにしてしまいます。
旅行も同じく、時間があるからあとで行けると思っていましたが、実際はお金を気にする感覚が強くなって、気軽には動きにくくなりました。余裕がある時期の行動力は、あとから振り返るとかなり貴重だと実感しました。
これからFIREを考える人が準備しておきたいこと
この1年を踏まえると、FIREや無職生活の前にやっておいたほうがいいことは、個人的に次の3つになります。
家計を軽くしておくこと
投資の前に、生活費の見直しです。家賃、通信費、固定費を下げるだけで、辞めたあとの安心感は変わってくると思います。
時間の使い道を考えておくこと
働かなくなったら何をしたいのか。そこが曖昧なままだと、自由なはずの時間が退屈に変わりやすいです。趣味でも勉強でも、人とのつながりでもいいので、軸があるとかなり違います。
完全に辞める以外の形も視野に入れること
FIREというとゼロか百かで考えがちですが、実際にはその間にもいろいろあります。週に少し働く形のほうが向いている人も多いはずです。わたし自身も、そのほうが合っていそうだと感じています。
まとめ
30代無職で1年過ごし、FIREのような生活を体験してみて分かったのは、自由な時間はそれだけで人生を満たしてくれるわけではない、ということです。お金の準備はもちろん大切ですが、それと同じくらい、何に時間を使いたいのかが大事だと実感しました。
一方で、やってみたからこそ見えた良さもありました。料理が生活に根づいたこと、家事の分担が変わったこと、暮らしを自分のペースで整えられたことは、この1年で得た大きなものです。
なので、FIREに向いているかどうかは、憧れだけでは判断しにくいと思います。完全に働かない形が合う人もいれば、少し働きながら余白を持つほうが合う人もいます。
これから無職やFIREを考えるみなさんは、まずお金の準備と同時に、暮らしの中で何をしたいのかを考えてみてください。その視点があれば、理想と現実のズレはかなり小さくできると思います。
